子供たちと走り抜けた関西中学受験の備忘録&中高一貫校でのアレコレ

うちの子たちの中学入試振り返りと、その後の学生生活でのあれこれを、時系列はばらばらですが気侭に書き散らかしています。

大手病

明けましておめでとうございます。

今年も統一日まであと2週間ですね。もうここからは体調管理が一番難しいと思います。どうぞどのお子さん全力が尽くせますように。

 

年末のある夜リビングのソファで転寝から覚めたときに、テレビで流れていた番組で聞こえてきた言葉です。大手病。

あー…なんか遠い昔に聞いたことある響き。

 

取り上げていた例はかなり極端でした。

○東大に進学した眼鏡をかけた真面目で素朴な男の子。

○入学してすぐに誘われて入ったインカレサークル(男子は東大生のみ、女子は東大以外のみ)で青田買い女子にモテまくる。

○学校生活を送るなかで数ヶ月のうちに都会的なオシャレな男性に激変。

○先輩やクラスメートのつてを使って"楽に"単位を取ることを覚える。

○塾講師か家庭教師で"楽に"お金を稼ぐことを覚える。

○自分に"東大生なんだから"というプライドを持つ。

そんな彼は就職活動で、"東大生なんだから"となんの分析もなく大手ばかりを受けて、ことごとく不採用。

就職浪人をモラトリアム期間だと親には言い訳し、翌年再就職活動でさすがに中小企業にもターゲットを広げて内定もらったものの、いざ働いてみたら東大未満の大学卒(と彼が見下していた)上司からの小言に耐えきれず、退職。そして東大出た自分が評価されない事にひきこもりになってしまう…なんてストーリー。

極端だけど、いる。こんな人。

確かに、実のない外側だけの自信にまみれた学生なんて、たとえ東大卒でもむしろ東大だからこそ不要だよなぁと思いました。だって理屈くさくて態度デカくて使いにくいから。

うちの子たちもそうなる可能性がある分、ヤバいかもしれない…‼︎。私の危機感はむしろここ。東大、京大でなくとも、人に誇れる大学に努力して入れてしまったら、このリスクは同時に発生するかもしれないのです。

 

私の勤め先にも東大・京大をはじめ、一橋や早稲田卒など新卒の子が配属されますが、カッコよくスタイリッシュで難解な仕事を初っ端から任せてもらうなんていうことは、まずない。上司から下りてきた仕事はなんでもやらなくてはなりません。それこそ資料作成から宴会の取りまとめまで。

夫が最初にいたメーカーは、理系総合職は大学院で修士号までとっている必要がありますが、メーカーだからこそ研修後は全員工場の生産ラインに配属されて高卒・高専卒で叩き上げで働いてきた古参の社員に現場を学ぶそう。そこには旧帝大大学院卒へのリスペクトなんて、無し。いかに現場のおっちゃん職人に可愛がってもらえるか、です(出世についてはまた別観点)。

昭和の体質はいまだおそらく多くの企業で健在で、まだまだ泥臭く働かなければなりません。いかに周りの人間と上手くやるかだなぁと、彼らの苦労を傍観していてつくづく思います。ちなみにこれ、今まで働いてきた会社(パート先、派遣先)全てそうでした。CMで見かけるし、新卒人気トップ50は入るような会社もあり、日系企業である限り似たり寄ったりかもと思うに至りました。

そして大人はそんな新入社員の過程を通過してきているから、社会人はそんなものって知っています。知らずに直面した子達が上手くやっていけるか否か。強かに切り抜けるか、自分も楽しむか、素直に上司に指示を仰ぐか。

 

プライドは時に自分を動かして、鼓舞してくれる源にもなりますが、土台あってこそ。土台も芯もない虚なプライドは、すぐに侵食されてしまう脆いものです。それは私の実体験。いやというほど中身のなさを自覚した時期があり、価値観が45度くらい変わりました。だからこそ、学生時代に大学名だけのプライドを内側に溜め込んだ人ほど、理不尽な社会人の波を泳ぎ切るのは難しそうに思います。

 

卒業大学(高校も、大学院も)は過去の栄光。

経歴も研究も、過去のものは通過点。

見つめる先が未来であれば、なにが大事でなにが不要か、その自信は現在も持っていて良いものか、風化しかけていないか見極められるようになるのではないでしょうか。

私の尊敬する山中教授だって、iPS細胞を作ったという過去ではなく、いかに現場で使えるようにするかという未来を見据えて活動されてる。

と、くどくどわが子に話をしてます。

娘はインカレサークルの人数構成あたりで男女差別と怒るのでいつも別の論議に脱線しますが、息子はだまーって聞く。あんたの方が頑固な分むしろ心配なのよ、母は。